「Celtic Note」 フィドル特集とCeltic Note紀行
今回はフィドル特集ということで北欧からアイルランドまで、フィドル奏者を特集してみました。よくヴァイオリンとフィドルの違いは何ですか?と聞かれることが多いのですが、楽器としてのフィドルとヴァイオリンはもともとまったく同じものです。ただ演奏スタイルの違いによってその呼び方が分かれるというのが一般的な説です。そして伝統音楽においては、ヴァイオリンというよりもフィドルと称されることが多いです。そのフィドルを今日はいろいろ聞いてみましょう。
M1: JPP『Hale Bopp』from "ストリング・ティーズ"
フィンランドのこのバンドは数あるフィドル軍団バンドの最高峰の一つじゃないでしょうか。4人のフィドルがうねるようなメロディを作りだしていくのが特徴です。フィドル+ハーモニウム+ウッドベースという6人のバンドです。
M2:Tiit Kikas『Everything happens for a reason』from "String Theory"
実は最近みつけたエストニアの新人フィドル奏者。なんとすべての音をフィドル1台で作ってしまっているというユニークなアルバムです。
M3: Annbjorg Lien『Knepphalling』from "エイリアンズ・アライヴ"
ノルウェーにはハルダンゲル・フィドルというユニークな形のフィドルがあります。ボディの周りに刺繍のような可愛い模様が描かれていて、実際に演奏するフィドルに加えて共鳴弦がたくさん張ってあって、その効果で教会で弾いているようなナチュラル・リバーブ感があります。
M4:Harv『Peer Reel』from "タァースト"
スウェーデンのブライテスト・ホープ、ポスト・ヴェーセンはこのバンドでしょう。ハーヴフィドル2人+パーカション+ギターの4人組。パワフルな演奏でかっこいい。いつか来日してほしいものです。
M5:Haugaard & Hoirup『Bjornekaeden(Bear's Chain)』from "リーズ~灯り"
前回紹介したCeltic Xmasの特集でもご紹介したデンマークの伝統音楽シーンを代表するハラール・ハウゴー(フィドル)とモーテン・ホイロップ(ギター)の2人組。この曲は変拍子で最高にかっこいい。
M6:Bukkene Bruse『St Sanniva』from "いちばん綺麗なバラ"
アンビョルグ・リーエンのハダンゲル・フィドルを中心としたノルウェーの4人組。なんとキース・エマーソン作の「恐怖の頭脳改革」をトラッド風にアレンジしてます。
M7:Catoriona McDonald 『Andy's Sltair』from "ボールド"
スコットランドの北に位置するシェットランド諸島って国的にはブリテンですけど、絶対に文化はスカンジナビアだと思うんですよね。カトリオナはその地を代表する女性フィドル奏者。この流麗なボウイングが素敵です。
というところでこの番組に新コーナーが出来ました! 作家の角田光代さんがエッセイを読み、光栄ながら私が選曲するという「Celtic Note紀行」です。旅心をさそう素敵なコーナーにしていきたいと思っています。
今回の選曲は
(1) Seamous Begley & Steve Begley "Bruach Na Carraige Baine"
(2) Liam O'Flynn "Brown Haired Girl"
(3) Van Morrison "St Dominic's Preview"
<提供:三井不動産レジデンシャル>
M8:Tommy Peoples『Jocelynユs Walz』from "The Quiet Glen"
ボシー・バンドの初代フィドラー。ドニゴールスタイルの巨匠。このギコギコ感がたまりません。
M9: Kevin Burke『Butterfly』from "In Concert"
おそらくフィドルを演奏する人にはたまらないであろう、この装飾音までもコントロールしつくしたような演奏がケヴィン・バークの特徴。この「Butterfly」の演奏が後世にあたえた影響たるや、ものすごいものがあります。
M10: Lunasa『Punch』from "Kinnitty Sessions"
アイルランドの人気グループ、ルナサのショーン・スミスはケヴィンに一番影響を受けていると思います。このトラックはルナサのライヴにおいてトリオ(フィドル、ベース、ギター)で演奏される事が多いコンサートのハイライトの1曲です。
M11: Maire Bretnach『Bran』from "The Voyage of Bran"
モイア・ブレナックはフィドル奏者であるとともに、現代のアイリッシュミュージックシーンを代表する作曲家です。多くのハリウッド映画のサントラを手掛け、最近はすっかり売れっ子になってしまいました。そういや彼女は日本のドラマの劇伴や、ゲームのサウンドトラックをやったこともありましたけど。
M12: Martin Hayes『PJ's Pachelbel Special』from "ライヴ・イン・シアトル"
テクニカル系の最高峰がケヴィン・バークといえば、情緒系の最高峰はマーティン・ヘイズでしょう。もっともマーティンはテクニック的にも最高峰ではありますが。この圧巻のライヴトラックはシアトルで録音されたもので、本当にものすごい! そして音楽のコアの部分を捕らえるような演奏は、聴くものの心をわしずかみにします。New York Timesで「スティーヴ・ライヒの弦楽四重奏曲や、 マイルス・デイヴィスの『スケッチ・オブ・スペイン』を補完するケルトからの返答」 と評された圧巻のライヴをお聞き下さい。1月に11年ぶりのスタジオ盤の新譜が発売になり、2月に来日もします。
本当はアイリーン・アイヴァース、アシュレイ・マックアイザック、リズ・キャロルなどの北米チームや、イライザ・カーシーやナンシー・カーなど英国編もかけたいと思っていましたが時間が足りなくなってしまいました。また機会がありましたらたくさん紹介していきたいと思っています。
そしてお別れの曲はこの曲。
M13: Four Men and a dog『Hold on I'm coming』from "Long Roads"
サム&デイヴのヒット曲をアイリッシュトラッド風にアレンジしました。圧巻です。
■番組タイトル:「Celtic Note」
■パーソナリティ:野崎洋子
■放送日時: 毎週木曜日 午前6時~午前8時、午後12時~14時、午後8時~10時
毎週日曜日 午後12時~14時
■番組宛メール: note@joqr.net