11月24日からの番組内容

毎月、月替わりのお客様をお迎えして映画に関する様々な話題やおすすめ映画をご紹介していきます。
11月は、映画のパブリシスト、茂田井美香さんです。
新しい才能を世に送り出したいという茂田井さんですが、いま、日本では若い監督によって本当に沢山の映画が作られています。
撮影所出身の監督というのは、レアケースになってしまいましたね。
ましてやデジタルが増えてきましたから、映画産業のシステムも大きな転換期に来ているのかもしれません。


「今週のおすすめ」は、日本映画「気球クラブ、その後」と「暗いところで待ち合わせ」です。

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気球クラブ、その後

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“気球クラブ・うわの空”。このサークルには、本当に気球が好きな人、寂しさを紛らわしたい人、恋愛や友情を求める人・・、さまざまな想いを抱いた若者たちが集っていた。5年後――。ガールフレンドのみどり(川村ゆきえ)と微妙な関係を続けている二郎(深水元基)のもとに、かつての仲間から1本の電話が入る。村上(長谷川朝晴)の突然の事故。そして、このことをきっかけにバラバラになっていたメンバーが再び集まり、村上を偲んで大宴会が行われることになった。
だが彼らは気付いていた。これが最後の、一夜限りのバカ騒ぎだということに。そして二郎はそこで、美津子の村上への深い想いを初めて知ることになる・・・。
園子温監督が、自分の気球を整理するために作ったという、さわやかな青春映画。こんなものを作ってしまいました…というところを、ぜひ見てください。(今週のおすすめ 茂田井美香)

気球クラブ、その後
監督:園子温
出演:深水元基 川村ゆきえ 長谷川朝晴 永作博美
エム・エフボックス
http://kikyuclub.com/

暗いところで待ち合わせ

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乙一原作の映画化で、主演は田中麗奈と2度目の共演となる台湾の陳柏霖(チェン・ボーリン)です。
只一人の家族である父親を突然失ったヒロインは、目が不自由ということもあり、ますます家に引きこもりがちになります。
そんな彼女の家に、ある日殺人の疑いをかけられた青年が忍び込み、音をたてずに身を隠していました。
心の隙間を埋め合うようにしだいに近づく二人でしたが、予期せぬ危険が忍び寄ってくるのでした。
孤独な二人の心が通い合うのと平行して、事件の影が大きくなってくるサスペンスが、とてもよく練られた脚本で展開します。
陳柏霖(チェン・ボーリン)はこれが初の純日本映画の主役で、終盤の長台詞も日本語できちんと喋っています。金城武のようにはいきませんが、役の心はしっかりと伝わる演技で、成長ぶりが見られました。
全盲の役の田中麗奈も、心を閉ざしたヒロインが一人の青年によって徐々に開放されていく過程を丁寧に演じています。(今週のおすすめ Neri)

11月25日よりシネスイッチ銀座、シネ・リーブル池袋他全国公開
監督:天願大介
出演:田中麗奈 陳柏霖(チェン・ボーリン) 宮地真緒 井川遥
配給:ファントム・フィルム
http://www.kuraitokorode.com/index.html

11月17日からの番組内容

毎月、月替わりのお客様をお迎えして映画に関する様々な話題やおすすめ映画をご紹介していきます。
11月は、映画のパブリシスト、茂田井美香さんです。
映画の宣伝をしていると、いろいろな人に会えますが、茂田井さんがこれまでこの仕事をしていてよかった!と思うくらい会えてうれしかったのは、池田敏春監督と伊藤かずえさんだそうです。どちらも、テレビで見ていてはまった映画やドラマの監督であり女優さんだから。
そんな茂田井さんが、これからは新しい才能を持った若い監督たちをサポートしていきたいということです。

「今週のおすすめ」は、香港映画のDVD「忘れえぬ想い」とアメリカ・イギリス合作映画「キング 罪の王」です。

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忘れえぬ想い

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名作「つきせぬ想い」から久々の爾冬陞(イー・トンシン)監督による泣きのラブストーリーです。
事故で婚約者を亡くした張柏芝(セシリア・チャン)が、残された彼の子供の面倒をみる為に自らミニバスの運転手となって働きます。彼を看取った同僚の劉青雲(ラウ・チンワン)が慣れない張柏芝を陰になり日なたになってサポート、いつしか二人の間に愛が芽生えるのですが…というストーリー。
張柏芝は「星願」や「パイラン」でも可憐でひたむきな姿にぽろぽろ泣かされましたが、この作品でも慣れないミニバスを必死に操る姿がたまりません。飾り気のない役がこんなにも似合うのは、美貌あってこそ。どんなにゴージャスにしても、この美しさにはかなわないでしょう。
相手役の劉青雲は文句なしの演技派ですから、不器用な愛の形の表現は他の追随を許さない素晴らしさ。出番は少ないものの、事故死する婚約者役の古天楽(ルイス・クー)もキャリアを重ねて、ただの二枚目からかなりの成長ぶりです。
香港名物のミニバス事情もよくわかり、別の楽しみが味わえるのもお得。(今週のおすすめ 茂田井美香)

DVD発売中!!
販売元:GPミュージアムソフト ¥3,990 (税込)
監督:爾冬陛(イー・トンシン)
出演:張柏芝(セシリア・チャン)劉青雲(ラウ・チンワン) 古天楽(ルイス・クー) 原島大地

キング 罪の王

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海軍を除隊した青年が、亡くなった母親から聞いていた父親を訪ねます。
父親は牧師として、地元の人々から尊敬され、妻と二人の子供と共に暮らしていました。
青年は父親に会って事情を話すのですが、封印した過去を暴かれるのを恐れた父親に、曖昧な約束だけで追い払われてしまいます。そこで彼は、偶然知り合った牧師の娘に近づき誘惑、彼女は兄と知らずに夢中になってしまいます。
そして彼女は妊娠、二人の仲の気づいた牧師の長男は…。
家族として受け入れられなかった悲しみが憎しみに変わり、最悪の形の復讐を遂げるガエル・ガルシア・ベルナルの冷徹さに、背筋が凍ります。
人間の性善説と性悪説を、考えざるを得ない衝撃作。
坊主頭も美しいガエル、相変わらず上手い演技と圧倒的な存在感でダークサイドを演じきっています。(今週のおすすめ Neri)

11月18日よりアミューズCQN ほか全国順次ロードショー
監督:ジェームズ・マーシュ
脚本:ミロ・アディカ
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル ウィリアム・ハート
ローラ・ハーリング ベル・ジェームズ
配給: メディア・スーツ
http://www.king-movie.jp/

アジアンタムブルー

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アダルト雑誌の編集者と新進女性カメラマンの、泣けるラブストーリーです。
仕事にも行き詰まり、友人の妻と不倫を重ねる主人公(阿部寛)が、瑞々しい新進女性カメラマンと出会い、紆余曲折の末、心の渇きを癒される彼女と新しい生活を始めます。
しかし、その幸せな日々に、彼女の末期がんという悲劇がおそいかかります。
残りわずかな恋人のいのち。主人公は仕事を辞め、彼女が行きたいというニースの柔らかな光のなかで過ごそうと決めるのでした。
“アジアンタム”とはシダ科の観葉植物。涼しげにハート型の葉を揺らすその姿は若い女性に人気ですが、枯れはじめると手の施しようがない、そんな繊細さを持っています。その状態は“アジアンタムブルー”と呼ばれますが、ごくまれにその“憂鬱”を抜けだし、再び青々とした葉を茂らせることがあるという。
悲劇的な状況を抜け出し、ひたむきに愛を奉仕しあう“大人の恋愛物語”のタイトルとして、こんな意味がこめられています。(今週のおすすめ Neri)

11月18日より[恵比寿ガーデンシネマ]ほかにてロードショー
監督: 藤田明二
出演:阿部寛 松下奈緒 小島聖 佐々木蔵之介
配給:角川ヘラルド映画
http://kadokawa-herald.co.jp/official/adiantumblue/

11月10日からの番組内容

毎月、月替わりのお客様をお迎えして映画に関する様々な話題やおすすめ映画をご紹介していきます。
11月は、映画のパブリシスト、茂田井美香さんです。
映画にかかわっていらっしゃる方、特にフリーの方は当たり前ですが映画に対する思いも熱くて、お話を聞いていると、本当に目うろこなことばかり。
もともとは監督や俳優さんの取材に行くのですが、その時に、今度機会があったら、この宣伝の方に話を聞こう、と思うのです。


「今週のおすすめ」は、日本映画「ハザード」と韓国映画「Sad Movie <サッド・ムービー>」です。

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ハザード

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平凡な学生生活を送っていた主人公は、大学の図書館「地球の危険な歩き方」というニューヨークの犯罪都市「HAZARD」について書かれた本を目にします。
その本を手にHAZARDへ飛び、自ら危険を求め、さまよい歩き、仲間と出会います。
彼らとの日々は刺激的で危険に満ち、憧れていた狂気と隣り合わせの世界でしたが、現実はそう簡単に彼を受け入れてはくれないのでした。
主演は人気実力とも今最も注目を集める俳優オダギリジョー。
脇を固めるのは、 園監督の待機作「気球クラブ、その後」で主演を務める若手注目俳優の深水元基、個性派俳優としてCMや映画で活躍を続けるジェイ・ウエスト、演技力と存在感が高く評価される実力派俳優池内博之。
全編ニューヨークにて撮影され、ブルックリンやハーレム地区ではゲリラロケを敢行しています。
手持ちカメラの使用、1シーン1カットの多用により、緊張感とスピード感のあるドキュメンタリータッチの映像を実現。
各国の映画祭で賞賛された本年度公開作「紀子の食卓」を手掛けた鬼才・園子温監督の衝撃の問題作です。(今週のおすすめ 茂田井美香)

11月11日よりシアターN渋谷にて公開
監督:園子温
出演:オダギリジョー ジェィ・ウエスト 深水元基 池内博之
配給:アンプラグド
http://www.hazardmovie.com/

Sad Movie <サッド・ムービー>

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(C)2005 I Love Cinema Co.,Ltd. All rights Reserved

またまた泣ける映画、タイトルもそのものズバリ「Sad Movie <サッド・ムービー>」。
韓国映画でチョン・ウソンときたら、昨年の「私の頭の中の消しゴム」を思い起こすと思いますが、これは4組の男女の別れを描いたもので、チョン・ウソンのパートはそのうちのひとつです。
ここでチョン・ウソンは消防士を演じるのですが、こういう身体をはった職業、ガテン系の役が本当によく似合い、かっこいいですね。
他に「猟奇的な彼女」「僕の、世界の中心は、君だ」など独特のキャラクターで人気のチャ・テヒョン、今回もその持ち味を生かした役どころです。
それぞれのカップルが、少しずつ他の人々と関わりがあるという構図になっていて、消防士とニュース番組の手話キャスターとして働く女性、聴覚障害者の女性とその彼女がアルバイトをする遊園地に毎日やって来る似顔絵描きの青年、3年間無職の生活を続ける青年とスーパーのレジのパートタイマーの女性、キャリア・ウーマンとして働く母親とその息子が織りなす別れの映画です。
「アメノナカノ青空」、「ごめん、愛してる」で一躍人気者となったイム・スジョン、、『甘い人生』のシン・ミナ、「ビッグ・スウィンドル!」のヨム・ジョンア、「ラブストーリー」のイ・ギウなど、今の韓国映画界を代表する俳優たちが一堂に会しているのも見どころ。
悲しいはずなのに、なぜか爽やかな後味があるのは、別れは次の出会いのステップになる…という隠し味があるからかも知れません。
(今週のおすすめ Neri)

監督:クォン・ジョングァン
出演:チョン・ウソン チャ・テヒョン イム・スジュン ヨム・ジュンア
シン・ミナ イ・ギウ ソン・テヨン ヨ・ジング
11月11日より有楽座ほか全国東宝洋画系にてロードショー
配給:ギャガ・コミニュケーションズ
http://www.sadmovie.jp/

 

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